太陽ハウジングの家づくりコラム
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2023.01.12
快適な住まいに欠かせない断熱の種類とは?【床編】
こんにちは。太陽ハウジングです。
先日の記事で断熱性能についてわかりやすくご説明しました。UA値や熱貫流率という数値を見ることで、その建物の断熱性能がわかるという話をさせていただきました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
断熱性能を比較するときのポイントは家全体を見るのではなく、「床」「壁」「屋根」という部位ごとに分けて考えることが大切です。これらがどのように断熱されているか?を知ることで、その建物の断熱性能がわかってきます。
今回は「床」の断熱について見ていきましょう。どの会社でも床で断熱をする「床断熱」と、基礎で断熱する「基礎断熱」のどちらかで施工しています。
床断熱のメリット
・シロアリに強い
床断熱は構造躯体と基礎の間に換気口を設け、基礎の中に外気を取り入れる構造になっています。床下空間があることで空気循環を効率的に行えるようになるので、基礎の内部に湿気がとどまりにくくなるため、シロアリが発生しにくい環境をつくることが可能です。
また、断熱工法の中でも長く普及してきたものなので、技術が確立されていて一定の断熱性能を得ることができます。
床断熱のデメリット
・床下の断熱材が薄いと床が底冷えする
床断熱は床の下に断熱材を入れる工法です。断熱材の下には外気が通っているため、断熱材が薄いと断熱しきれず、冬場は冷気によって床が冷えてしまいます。
本来、床下を十分に断熱すれば、冬場でも床暖房を入れなくても床が冷たくなりません。
もし住宅会社から「床暖房を入れれば冬でも床は暖かくなります。」「無垢材を入れても床は冷たくなります」という説明を受けたら、あまり家のことを理解していないと思ってください。
床が冷たいのであれば、まずは床下の断熱材を厚くしたり断熱材の種類を変更したりすることが大切です。
・気密が取りにくい
多くの現場では職人さんが断熱材をその場で裁断し施工します。
床断熱では床下に外気が入る構造になるため、気密がしっかりと取れていないと、床下からつめたい空気が吹き上げてくることになります。床断熱を採用している会社に対しては、床面の気密施工がどのようにされているか?を建築現場などで確認してもいいかと思います。
また、断熱材を構造材と同じようにあらかじめ工場でプレカットして施工している場合であれば、隙間による断熱効果ロスが少なく、ミスも起こりにくいです。
基礎断熱のメリット
・気密断熱がとりやすい
基礎断熱は基礎を断熱材で覆う工法です。構造躯体と基礎は一体化している状態のため、気密性も断熱性も高いです。
床下を一つの部屋のように使うことができるため、床下に空調設備を施工して部屋全体を暖めるということもできます。
基礎断熱は寒い北海道が発祥とされており、他にも寒冷地で積雪もあるエリアでは基礎断熱が主流となっています。2022年10月の省エネ基準引き上げによって、より高い断熱性能が求められるようになりましたが、基礎断熱は気密断熱計算が有利になるので、寒冷地だけではなくこのエリアでも人気が出てくるかと思います。
基礎断熱のデメリット
・結露やカビが発生するリスクがある
基礎断熱では基礎を断熱材で覆うため、床下は一つの部屋のような状態になりますが、居室とは違って窓がありません。そのため、換気扇などを使用して空気を循環させます。
基礎の部分はコンクリート造となるため、乾くまでに時間がかかり、コンクリートに含まれる水分が充満してカビや結露が発生することがあります。
入居後はもちろん、建築中も換気システムなどでしっかりと乾燥させることが大切です。
・シロアリに弱い
基礎断熱にはさらに「基礎外断熱」と「基礎内断熱」の2種類に分けられます。いずれも基礎内部が外気の影響を受けないようにする工法ですが、断熱をする位置が違います。
基礎の外側に断熱材を施工する基礎外断熱は断熱効果が高いのですが、シロアリが発生するリスクも高いです。基礎の内側に断熱材を施工する基礎内断熱は、基礎外断熱と比較すると断熱効果は少し落ちるものの、シロアリリスクも若干軽減できます。基礎外断熱と基礎内断熱の両方を施工する「基礎内外断熱」を採用している住宅会社もあります。
シロアリは風がない暗い場所、湿気がある場所を好みます。基礎と断熱材の間はシロアリにとっては最高のすみかになります。結露によって水分が充満してカビが発生している環境ならなおさらです。
床断熱であれば床下を目視すればシロアリ被害を発見できますが、基礎断熱の場合は発見が遅れがちになります。やがてシロアリが建物へと移動し、知らない間に全体が侵食されるケースもあり得ます。
特にシロアリ被害は温暖な地域で起こりやすいので、基礎断熱を施工する場合は床下の換気対策とシロアリ対策をしっかりと確認しておきましょう。
・まとめ
床断熱と基礎断熱はどちらもメリット・デメリットがあります。
ご自身の家がどちらで施工されているのか?もしくは検討されている住宅メーカーがデメリットに対してどのような対策をしているのか?を知り、対策が不十分だと感じたら、どのようにそれを補うのかを考えることが大切です。
建物見学会に参加し、断熱性能を確認・体感し、不明点は担当者に質問してみましょう。
後日、「壁」と「屋根」の断熱についてもご紹介します。