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2024.08.06
工務課・森
恐怖体験
こんにちは、工務課の森です。
何年も前の話です。
仕事が立て込んで夜中の⒓時を過ぎていた。
上社インターから高速名二環に入り帰路についた。
やり切った気持ちに比例して疲労感がある。
思考回路は完全停止だ。
無心でハンドルを握っていた。
突然、後部座席から発する大きな音!!
ブ、ブ、ブー‥、
驚きと同時に無の状態が途切れた‥
このあと、これまで経験したことのない恐怖を体験することになる。
五月雨後の快晴、その年初めてひどく暑く感じる日となった。
上棟にはよい日に恵まれた。
昼頃、息子夫婦のめでたい門出に、お酒を持ってお父さんがお見えになった。
3時の休憩になるとお父さんの姿が見当たらない‥。
するとお父さんの声がする。
私を呼んでいる。
すぐそばに畑があり、そこで私を呼んでいる。
すごいものを見た‥
イチジクの木に何かの保護と思われるブルーのネットがかけてある。
その中に数えきれないほどのカブトムシが密集している。
暑くなり一斉に成虫となって地面から出だのだろう。
この木の根元に卵を産み、毎年繰り返されてるのだと推測した。
子供の頃、お店で買ってもらったカブトムシしか知らない私は、この光景に驚愕した。
私は作業に戻った。
しばらくしてお父さんが興奮気味に戻ってきた。
パンパンのスーパーの白い袋‥、
満足そうに高く掲げ近づいてきた。
ガサガサ音を立てモゾモゾ動く袋‥、
なんと畑の持ち主を探し、許可をもらってカブトムシを採らせてもらったと言うのだ。
そして私に欲しいのをすきなだけ取れと言う。
えっ、いいんですか?!
大人の今、カブトムシ‥、気持ちわり〜‥、絶対いらん‥‥、
私は特に羽を広げた虫が苦手だ。
更に振動する羽根の音は生理的に無理だ‥。
笑顔で2匹、出来るだけ接触しないように掴んだ。
現場にあった小さな段ボール箱に入れ、折りたたんで蓋をした。
それを車の後部座席に置いた。
その後、事務所に戻り遅くまで仕事をして、興味のないカブトムシの事は、全く意識からなくなっていた。
帰りの車内でブ、ブ、ブーと音に驚き、しばらく考えながら運転を続けた。
カブトムシを思い出したのは次にブ、ブ、ブーの音を聞いた時だ。
羽根の音だ!!
ゲッ、
ヤバい!!!
完全に忘れていた。
箱から出てると理解した時には、ブ、ブ、ブーと2匹が飛び回り‥
ブ、ブ、ブー、コツコツン、ブ、ブ、ブー、コツ、ブ、ブ、ブー、コツコツコツン‥
狭い車内を飛び回り至る所にぶち当たりまくる状況だ。
ゾゾ気がはしる‥
薄暗い車内‥
うぇっ、ぎゃっ、うぉぉぉぉ‥‥‼︎
自然とでる変な声‥
時折、高速道路の電灯が同じリズムで車内を照らす‥
コマ送りのような車内の映像‥
羽を振るわせる黒い影が、断片的に目の前をよぎる‥
ハンドルを握ったまま体をよじらせ、耳元で大きくなる羽根の音から逃げる‥
うぇっ、うぉぉぉぉ‥‼︎‼︎
全身さぶイボ、アタマをかきむしりながら、パニックの状態で必死に高速を運転している‥
ブ、ブ、ブー、コツコツン‥二つの黒い影‥
戦慄の車内、
地獄絵図だ‥
高速道路に待避所はあるが、恐怖からのアドレナリンが止まるというワードをアタマから消し去った‥
命懸けで高速を降りた‥
そしてビビりながら、なるべく接触しないように箱に戻し、不安定な精神状態だが無事に帰ることが出来た。
そしてこの2匹とは、その後2回目の夏を迎えるまでの付き合いとなった。
なのに‥‥、
蚊の音を追いかけて、
部屋中に噴射したキンチョール‥
うかつだった‥‥、
死んだ‥。
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