太陽ハウジングの家づくりコラム
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2024.02.22
【注文住宅の超基本】高気密高断熱の家づくりへの「4つのステップ」#2気密編
こんにちは、太陽ハウジングです。
今回は、2月15日公開のコラムの続きとして、高気密高断熱の家づくりへの「4つのステップ」の気密編をお届けします。
▼2/15公開のコラムはこちら(https://www.taiyo-co.com/blog/55760.html)
【注文住宅の超基本】高気密高断熱の家づくりへの「4つのステップ」#1断熱編
■健康な家づくりとは?
『 健康な家づくり = 高気密高断熱の家づくり 』
季節の変わり目、多くの人が体調を崩します。これは、急激な温度変化に対応できず、体がストレスを感じてしまうためです。
特に高齢者は温度変化の影響を受けやすく、ヒートショックを引き起こすリスクも高まります。最悪の場合、命に関わる事態にも発展しかねません。
つまり、健康を守るためには、一年を通して温度変化が少ない快適な住環境を実現することが重要です。
そして、それを実現するために最適なのが、高気密高断熱の家なのです。
高気密高断熱の家は、外気の影響を受けにくいため、夏は涼しく冬は暖かい室内環境を維持できます。
室温が安定することで、体に負担がかかりにくくなり、風邪やヒートショックのリスクを軽減できます。
さらに、光熱費の節約にもつながります。
■高気密高断熱の家づくりへの「4つのステップ」
では、高気密高断熱な家づくりをするためにどうしたら良いのか?
それは4つのステップを段階的にクリアして家づくりを行う必要があります。
必ず1、2、3、4の順番で家づくりをしてください。
- 断熱
- 気密
- 換気
- 空調
この1~4の順番で家づくりをすることが重要で、この順番で家づくりを行うことで高気密高断熱の家づくりができるようになります。
1番目の断熱をしっかり行うことで、2番目の気密の効果がより高まります。
(1を飛ばして2から始めるというのはNGですので、ご注意ください!)
では、前回(断熱編)の続きとして「気密編」を解説します。
2.気密
気密とは、どれだけ家に隙間が空いているかを言い換えた言葉になります。
気密性能を表す数値で「C値」があります。
C値とは、住宅の隙間相当面積のことで、建物全体の隙間面積(㎠)を延床面積(㎡)で割った数値です。(単位は㎠/㎡です)
C値は0に近いほど隙間の総量が少ないことを表しているため、「C値が低い=気密性能が高い」ということになります。
C値を低くするための「気密施工」とは?
C値を低くするため隙間を埋める工事を「気密施工」と言います。
建物の内と外の隙間を減らすことで、隙間風を防ぐ(隙間面積を減らす)ことです。
具体的には、ノボパンやダイライトなど透湿性のある高品質な建材で気密を取る方法【ボード気密】と、
建材と建材の接合部分を気密テープや気密シートでしっかりと貼り付ける工法【シート気密】があります。
ただ、上記のボード気密もシート気密の気密施工は現場監督や職人の「技術力」と「意識」が必要です。
どちらか一方でも欠けていると正しい気密施工はできません。
注文住宅を検討する際、完成した建物だけでなく建築中の建物も見て、構造を確認するというのも大切ですね。
気密は省エネ性能のカギ
家の隙間を、もっと分かりやすく例えます。
ビニール袋に水を入れるイメージをしてください。
そのビニール袋に1ミリの穴が開いていたとします。
1ミリの穴なので入れる水の勢いを強くしなくても一定の水位は保てると思います。
次はビニール袋に5センチの穴が開いていたらどうでしょうか?
入れる水の勢いをかなり強めないと一定の水位は保てません。
実は家でもこれと全く同じことが起きています。
家に開いている穴の大きさ(隙間面積)が大きければ大きいほど、そこから温めた空気や冷やした空気がどんどん逃げていくことになるため、エアコンをガンガン使い続けることになります。
夏は冷房の温度設定を18℃で強風運転にしても温度が下がらない、冬は暖房で部屋中を温めているはずなのに隙間風で冷えるということになりかねません。
快適な室温を保つためにエアコンをガンガン使い続けること自体エコではないですし、電気料金もかかりますよね?
要するに、気密施工をやらないと、家の保温性能だけでなく省エネ性能にも差が生まれてしまいます、ということです。
気密施工のボーダーとは?
ここまでの説明を見ていただいた方なら、「気密施工はやったほうが良いね」というのは分かっていただけたかと思います。
ここで問題となるのは、ただやれば良いというわけではないということです。
実は、気密施工は「ここまでやらなければいけない」という明確なボーダーがあります。
そのボーダーとは何か?
「気密を表すC値が1㎠/㎡以下であること」
これは絶対にクリアしなければいけない値です。
むしろC値1㎠/㎡以下であれば、0.8㎠/㎡でも0.5㎠/㎡でも大きな差はありません。
また、建築地によってはC値が低くなくても少しだけカバーできる場合もあります。
これがどのようなことか順を追って説明します。
C値と漏気の関係を徹底解説
ますはこの表をご覧ください。
この表は外の温度と室内の温度差、その地域の平均風速を元に家の漏気がどれだけ起こるかを表したグラフです。
つまり、このグラフでC値の重要性が分かります。
まずは見方を説明します。
右のグラフは外の温度と室内の温度差を表しているΔT(デルタティー)と建築地の外部風速を知る必要があります。
気象庁からこれらの値を持ってきます。
例えば、愛知県大府市を1つの例として見ていきます。
愛知県大府市の2023年風速は平均すると2.2m/sになります。
外の温度と室内の温度差は、室内の温度が20℃と仮定して冬の外の平均気温が5℃とします。
これで外の温度と室内の温度差は15℃になります。
これらの数値を建築地が周辺に何もない土地(広域地)なのか、一般的な住宅地(住宅地)なのか、都心のような住宅密集地(密集地)のどれか選択して交点に
ポイントをします。今回は一般的な住宅地を選択します。
そのポイントを軸に水平線を引いていきます。
建築地が愛知県大府市の一般的な住宅地で、1年の平均風速が2.2m/s、外の温度と室内の温度差が15℃という条件の場合、1時間で家の容積の何%の空気が入れ替わるのかが分かるようになります。
愛知県大府市の一般的な住宅地に建築をした場合、C値が4㎠/㎡の場合は1時間で家の中の空気の約29%が勝手に入れ替わることになります。
C値が2㎠/㎡で家の空気の約15%、C値が1㎠/㎡で家の空気の約7%が勝手に入れ替わってしまうというのが読み取れます。
要するに、C値が悪いほど(先程にも説明したように)家の保温性や省エネ性に悪影響を及ぼす可能性があるということです。
このグラフを見て分かると思いますが、C値が1㎠/㎡を切ると漏気量は大きく変わりません。目に見えるほどの大きな差はないわけです。
世間一般的にC値が1㎠/㎡を切れば合格とか言われます。C値が0に近いほど気密性の高い良い家と言われたりします。
(ちょっと意地悪かもしれませんが)このコラムを見ているお客さまで、営業担当から「弊社のC値は0.5㎠/㎡です。だからすごいんです!」と言われたら、「C値が1㎠/㎡の家と何が違いますか?」と聞いてみてください。
(ちなみに、私はきちんと答えられる営業スタッフに出会ったことはありません。また、C値なんて古いです。今はUa値が大切ですとか言う担当者なら論外です。そんなリテラシーの低い担当者に自分のマイホーム建築を任せられないですよね?)
立地によってC値をカバーできることも
また、都心のような住宅密集地だと外部風速(※)の影響を受けにくいので、C値が悪くても少しカバーできるということが見えてきます。
※自然換気において外部の風向風速と室内外の温度差により生じる風力。
建物に風が吹きつけられることで隙間から家の中に風が入ってくるので、都心のような住宅密集地で家を建てる場合、周辺の建物が防風壁の役割をしてくれるため外部風速の影響を受けにくくC値が悪くても少しカバーできるということです。
気密が取りにくい鉄骨造の住宅が住宅密集地向けの建て方だということは、ここからも見えてきますね
これから家づくりをされる方は気密を重要視して家づくりをしていただければと思います。
具体的には。「気密施工」をして「C値は1㎠/㎡以下」になるようにしましょう。
次回のブログでは、高気密高断熱の家づくりへの「4つのステップ」の3つ目として「換気編」をお届けします。