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2024.02.08
【注文住宅の超基本】鉄骨造の住宅向けの立地、木造の住宅向けの立地とは? 鉄骨と木造のメリットデメリットを解説
こんにちは、太陽ハウジングです。
今回は、1月11日公開のコラムの続きとして、「鉄骨造の住宅向けの立地とは?木造の住宅向けの立地とは?鉄骨と木造のメリットデメリット」をお届けします。
▼1/11公開のコラムはこちら
【今から家づくりをする方必見!】注文住宅を建築する上での超基本をお伝えします。
https://www.taiyo-co.com/blog/54740.html
■前回のコラムの振り返り
頑丈とは耐震等級3のことであり、木造であろうと鉄骨造であろうと耐震等級3の家を作ることが目的。
〇〇工法や〇〇金物が良いとか悪いとか、制振装置の有無とかは1つの手段でしかないというお話をしました。
ただし、鉄骨造と木造を比較したときに、
「木と比較したら、鉄の方が強度があるから、鉄骨造の住宅ほうが強いでしょ!」
と思っている方も多いと思います。
その疑問にお答えすると「家を建てる立地によって構造躯体を選ぶ」というのがベストな選択です。
鉄骨造の住宅には鉄骨造の住宅向きの立地が存在し、木造の住宅には木造の住宅向きの立地が存在します。
そこで今回のコラムでは、
「鉄骨造の住宅向けの立地とは?木造の住宅向けの立地とは?」、
「鉄骨と木造のメリットデメリットは何なのか?」について説明します。
家の建て方を選ぶ上で重要な部分ですので、ぜひ参考にしてみてください。
■鉄骨造向けの立地とは?
鉄骨造に向いている立地は、都心部や隣の家との距離が短い住宅密集地です。
その理由は、地震が起きた際に自分の家だけが耐えられれば良いわけではないからです。
密集したそれぞれの家が地震に耐えられていたら良いですが、もしかしたら隣の家が崩れて倒れてくるかもしれません。そのため、自分の家が地震に耐えられるのはもちろん、近隣からの被害からも身を守ることを考える必要があるのです。
これが都心部や住宅密集地で家を建てる時の必要な考え方になります。
都心部や住宅密集地で家を建てるときは、素材自体に強度がある鉄骨造のほうが有利といえますね。
■木造向けの立地とは?
木造に向いているのは、敷地にゆとりがあるところで家を建てる場合で、鉄骨造とは逆のイメージです。
近隣の家が倒れてくる心配がなければ、無理をして鉄骨造にする必要もなく、木造のメリットを活かした自由な住まいづくりができるでしょう。
(ただし強度という点で考えると、震災時に周辺被害が少ないと予測される立地で建てたほうが安心ではあります。)
都心部や隣の家との距離が短い住宅密集地で家を建てる場合は「鉄骨造住宅」、敷地にゆとりがあるところで家を建てる場合は「木造住宅」という感じで、立地によって構造躯体を選ぶことがポイントです。この考え方は自分たち「家族の命を守ること」に直結する考え方になりますので、慎重に考えてみることをおすすめします。
立地に合わせて「鉄骨造にするのか、木造にするのか」を選んでいただければと思いますが、それだけでは判断できないという方もいると思いますので、鉄骨造と木造の住宅のそれぞれのメリットとデメリットをお伝えします。
■鉄骨造のメリット・デメリット
【鉄骨造のメリット】
・繰り返しの地震に強い
・近隣住宅からの被害から身を守れる
・リフォーム時に構造躯体を再利用できる
・柱や壁を減らして開放感のある間取りが可能
【鉄骨造のデメリット】
・断熱性能、気密性能は木造より劣る
・デザインの自由度が木造より劣る
・建築コストが高い
・全体的に重い(地盤補強工事が必要な場合が多い)
■木造のメリット・デメリット
【木造のメリット】
・断熱性能、気密性能が高い
・デザインの自由度は鉄骨造より高い
・鉄骨造と比べ建築コストが低い
【木造のデメリット】
・鉄骨造より強度面が劣る
・鉄骨造より柱や壁が多く必要
・大規模リフォームは不向き
鉄骨造、木造それぞれに、得意不得意があります。
■断熱性能と気密性能は「木造」の方が高い
特に注目してほしいのは、「鉄骨造の断熱性能と気密性能は木造より劣る」という点です。
・断熱性能
鉄は木の400倍、熱を伝えやすい性質があるので、その400倍の熱を伝えなくする工夫が必要になること。
具体的には線路をイメージしてください。線路は1本のレールで出来ているのではなく、いくつものレールが等間隔に置かれて1つの線路を形成しています。
なぜ線路が1本のレールで出来ていないかというと、鉄は温度により伸び縮みするため、その影響で線路が歪んでしまい線路を走っている電車が脱線してしまう可能性があるからです。電車に乗るとガタンゴトンという音が鳴るのはジョイント音と言い、等間隔に置かれたレールの継ぎ目があるため発生しています。
これと同様に鉄骨造の住宅も少なからず鉄骨が伸び縮みするので、どれだけ丁寧に施工しても多少の隙間が出来てしまうと言われています。
・気密性能
鉄は素材そのものの特性として温度によって伸び縮みします。
また、気密施工を行う場合、建物の室内側に気密シートや気密テープを貼るための木枠が必要で施工が複雑になります。
気密施工を行う際、木造の場合は、気密シートや気密テープというビニールを貼り、シートはタッカーというホッチキスで止めますが、鉄骨の場合はタッカーでシートを留めることができません。木造なら構造躯体が木なのでホッチキスの芯も入りますが、構造躯体が鉄のためホッチキスの芯は入らないからです。
そのため、鉄骨の上に木枠を組んで、そこに気密シートを貼るなどの手間がかかります。作業工程も複雑で、現場の職人の技術にも左右されます。完璧に隙間を埋めること自体、難易度が高いので木造と比べ気密が劣ってしまいます。
鉄骨という素材自体が温度によって伸び縮みする、気密施工をする場合、建物の室内側に気密シートや気密テープを貼るための木枠が必要で施工が複雑になるということから、鉄骨造は気密が取りにくいとされています。
■構造躯体の強度面は「鉄骨造」の方が安心
ここまでお話すると「木造のほうが良さそう」と感じられるかもしれませんが、繰り返しの地震や構造躯体の強度面を考えると鉄骨造のほうが安心感はありますよね。
例えば、街でビルのテナント工事を見かけることがあると思いますが、鉄骨造の建物は少し無茶をしても案外簡単にリフォームができてしまいます。でも木造は構造躯体が木ですから、柱などに傷をつけてしまうと耐震性能が下がる可能性があるわけです。そうならないようにするためにも、木造は無茶なリフォームができないのです。
鉄骨造にも木造にもそれぞれメリットデメリットがしっかり存在します。
鉄骨造と木造のデメリットを理解した上で、前回お伝えしたとおり「耐震等級3」を必ず取れる間取りを提案してもらうことさえ守れば一定の安心感があります。
ここまでが注文住宅を建築する上での超基本である「頑丈かつ健康でいられる住まい」の頑丈部分をお伝えしました。
ここまでを簡単にまとめると、頑丈とは=耐震等級3のことであり、耐震等級3を取ることが目的でそれ以外は手段でしかないということ。
耐震等級3が取れれば鉄骨造でも木造でもどちらでも変わらない。ただし家を建てる立地によって構造躯体を選ぶようにしましょう。
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※参考資料
少し話が逸れますが、2024年1月1日石川県能登地方で地震が発生しました。
被災された方には心よりお見舞い申し上げます。
耐震等級のことを知っていただきたいと思い、
YouTubeで能登半島で観測された地震動を用いた耐震シミュレーションを見つけました。
改めて「耐震等級3」の重要性が分かると思いますので、ご紹介します。
動画を見る前に事前情報をします。
基準法20%:1950年(旧耐震基準)
基準法30%:1971年(旧耐震基準)
基準法60%:1981年(新耐震基準)
基準法:2000年(現行耐震基準)
等級3:現行耐震基準の1.5倍
等級5:現行耐震基準の2.0倍
等級7:現行耐震基準の2.5倍
等級9:現行耐震基準の3.0倍
等級11:現行耐震基準の3.5倍
・旧耐震基準
震度5程度の中規模の地震で大きな損傷を受けないこと
・新耐震基準
中地震では軽微なひび割れ程度の損傷にとどめ、震度6程度の大規模な地震で建物の倒壊や損傷を受けないこと
・現行耐震基準
数十年に一度発生する地震(震度5程度)に対して住宅が損傷しない程度
数百年に一度程度の地震(震度6強~7程度)に対して倒壊、崩壊しない程度
これらを踏まえて動画を参照してください。
https://www.youtube.com/watch?v=keZeCXDS8rc
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次回のコラムでは、家の健康についてお伝えします。
健康な家づくりというのは「高気密高断熱の家づくり」のことです。
例えば、季節の変わり目で風邪をひく方って結構いるのではないでしょうか。
これは急な温度変化に体がついていけず体調を崩してしまうわけです。
また、高齢者になると温度変化に耐えきれず、
お風呂場などでヒートショックを起こしてしまい、最悪亡くなってしまう場合もあります。
つまり一年中温度変化の少ない家を作ることこそ、人の健康に直結するということです。
そして一年中温度変化の少ない家を作るためには、高気密高断熱な家づくりが必須になります。
では、高気密高断熱な家づくりをするためにどうしたら良いのか?
次回のコラムは、具体的な4つのステップを通じて、高気密高断熱の家づくりを段階的に解説していきます。