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2024.06.13
【新築時の対策が重要】住宅のシロアリ対策とは?(前編)
こんにちは、太陽ハウジングです。
今回はシロアリ対策をお届けします。
シロアリ被害は「自分には関係ない」と思う方も多いかもしれません。
しかし、データを見ると思ったよりも多いことがわかります。
シロアリ被害実態調査報告書によると・・・
築10年未満の建物で被害発生率5%
築15年以上の建物で被害発生率10%強
築25年以上の建物で被害発生率20%
このデータから築25年で5棟に1棟、築15年で10棟に1棟、築10年未満の築浅でも20棟に1棟の割合でシロアリの被害を受けているということが読み取れます。築年数が長いほどシロアリの被害を受けやすくなりますが、築浅でも被害を受けることがあるのは驚きですよね。
シロアリの被害を受けることが直接家の倒壊につながるというわけではありませんが、倒壊リスクは高まります。
その理由は、シロアリが木材を食べることで、家の重要な構造躯体が弱くなり、建物強度が低下することで、地震や台風などの自然災害が発生したときに倒壊する可能性が高まります。
家づくりにおいては、どうしても断熱等級や耐震等級に目が行きがちなので、シロアリ対策についての知識はあまり聞いたことがないかも知れません。
シロアリ対策の知識は不足しがちな部分だと思いますので、今回は前編後編に分けてシロアリの生体からシロアリ対策の基礎知識などをご説明します。ぜひこのコラムでシロアリについての正しい知識を得ていただければと思います。
■シロアリ対策が重要な理由
まず、シロアリ対策が重要な理由はあまり知られていないのでお伝えしていきます。
- 家の被害が甚大
シロアリの被害を受けてしまうと家の被害が甚大になります。
シロアリは家の下のほうからやってきますので、土台や柱などの家を支える構造躯体がスカスカに朽ちてしまいます。そうなると家の強度が落ちてしまいます。
実際にあった過去の事例では、阪神淡路大震災のときに倒壊した多くの建物でシロアリの被害や木材の腐朽が見つかっています。
中でも、神戸市東灘区ではシロアリの被害を受けた建物の約90%が全壊しているという恐ろしい結果もあります。
確実に言えることとして、シロアリ被害を受けてしまうと、建物を支える力が弱まってしまい、地震などの自然災害で倒壊しやすい家になってしまうということです。
いくら建物の耐震等級が最高等級の3だとしても、シロアリ被害によって計算どおりの強度が出なくなってしまいますので、シロアリ被害は食い止めなければなりません。
- 被害確率が高い
適切なメンテナンスをしていない場合、築25年以上の建物は20%、5棟に1棟の割合でシロアリ被害を受けるデータがあります。また、5年に1度の防蟻処理の対策をしたとしても築15年以上の建物は10%、10棟に1棟の割合でシロアリ被害を受けているというデータもあります。
シロアリ被害の確率は5棟に1棟とか10棟に1棟でかなりの高確率です。地震や火事、液状化などの被害と比べても棟数が高いことが分かります。
シロアリ被害は自分には関係ないわけではなく、非常に確立の高いリスクです。自分の身にも起こりうる被害と認識しておきましょう。
- シロアリ対策は建物を建築するときに1番有効な手段がある
有効なシロアリ対策には、建築時にやらないと二度とできない内容もあります。
もちろん建てた後でもリカバリーできる方法もありますが、効率的な対策は建築時(家を建てるとき)にしかできません。
家を建てる前に知っておいたほうが良い要素になります。
シロアリ被害を受けてしまうと、家の強度が弱くなりますし、シロアリ被害の確率は意外と高く、建築時にしかできない効率的な対策もあるので、シロアリ対策を知っておくことは非常に重要なことになります。
■シロアリ豆知識
シロアリ対策の前にシロアリについての豆知識をご紹介。
対策をするなら、まずは相手のことを知ることは大切ですよね。この後の対策が分かりやすくなるようにご説明します。
・シロアリはアリの仲間?
シロアリはアリという名前からアリの仲間と思われがちですが、実はアリとは全く異なり「ゴキブリ」の仲間です。
(ゴキブリ!?と思うかもしれませんが)シロアリの別名は「森の分解者」です。
シロアリの多くは熱帯・亜熱帯地方の森林地帯に住んでおり、シロアリは木材の主成分である「セルロース」を栄養とする数少ない生物であり、枯れた木材や落ち葉などをエサとするなどして、自然のサイクルの中では大切な役割を果たしています。
また、シロアリによって作られた網目のようなトンネルは水分や通気など、より良い土壌条件の改良にとても重要な働きをしているため、地球環境という大きな視点で見てみると、なくてはならない益虫になります。
つまり、シロアリから食物連鎖が始まっているといっても過言ではありません。
シロアリがいないときれいな森は育たないですし、森がないと人間は暮らせません。
ただ、森の中では分解者としての重要な役割を担っているシロアリですが、木材をエサとするシロアリは、家を食害する「害虫」として本当に防がないといけない家の大敵とも言えます。
・シロアリの種類
世界で現在2800種類以上確認されているシロアリですが、日本には現在22種のシロアリが生息しています
日本で被害があるシロアリは、主に「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」です。そのほか、乾材シロアリの仲間である「アメリカカンザイシロアリ」と「ダイコクシロアリ」の被害が増えてきています。
その中でも最も多くの被害を受けるのがヤマトシロアリです。
ヤマトシロアリは北海道北部を除いた日本全土に生息しています。4月5月の雨上がりの空気が澄んだ午前中に、黒っぽい羽ありアリが飛び立つのですが、このアリこそヤマトシロアリです。
シロアリなのですが、羽ありの体の色は黒っぽいので、普通のアリだと思って油断していると家がボッコボコにされてしまいます。
そもそも、自宅で羽アリの群飛を見たら要注意です!間違いなく被害を受けていますので、すぐに点検をしたほうが良いかもしれません。
続いてイエシロアリは、温暖な地域(関東より西、静岡より南の太平洋側)に生息しています。ヤマトシロアリと比べると被害件数は少ないですが、イエシロアリは攻撃力がハンパないのが特徴です。
加害速度は速く、被害は甚大になるという、世界で1番加害力が強いシロアリと言われていますので、非常に注意をしなければなりません。
6月7月が1番活動する時期と言われています。イエシロアリの群飛は夕方くらいと言われています。ヤマトシロアリ同様に「羽アリがいる」=「近くに立派な巣がある」ということになりますので、すぐに点検して見つけなければならない状態です。
最後に「アメリカカンザイシロアリ」と「ダイコクシロアリ」についてです。
乾いた木も食べるので乾材シロアリと言われています。
シロアリは通常土の中、つまり下の方から来ますが、アメリカカンザイシロアリとダイコクシロアリは上からもやってきます。
こうなると正直、防ぎようがありません。独特の砂粒状の糞をするので発見することもできますが、非常に厄介なシロアリともいわれています。
ただし生息域はかなり限定的です。ダイコクシロアリは沖縄や奄美大島以南、小笠原諸島。アメリカカンザイシロアリは海岸沿いの海に近い場所です。
いずれにしても被害確率の高いヤマトシロアリとイエシロアリの対策を行っていくことが大切になりますので、しっかり抑えていきましょう。
・シロアリの特性
日本国内において多く見受けられるヤマトシロアリやイエシロアリは「地中シロアリ」と呼ばれ、特性は結構似ています。
土の中など四方八方に蟻道(ぎどう)という移動のためのトンネル通路を伸ばし周辺の建物や樹木に侵入します。
目はほとんど見えないとされていますが、ものすごく鼻が利きます。
何のニオイを嗅ぎつけているかというと…「セルロース」と「湿気」です。
シロアリはセルロースと言われる木の成分を栄養源としています。
湿った木があると、そこに吸い寄せられるように集団移動する習性があります。
「うちはベタ基礎だから大丈夫」と思う方もいるかもしれませんが、隙間から漏れるニオイを嗅ぎつけてしまうというのがシロアリの特性です。
シロアリが好むのは湿った木なので「住宅の木材って乾燥しているのに食べられるの?」と考えると不思議ですよね。
その理由は、じっくり時間を掛けているからと言われています。
シロアリは蟻道と呼ばれる土のトンネルを作り移動を行います。蟻道はシロアリが移動するだけでなく、湿気も運び「少し湿った食べ心地のいい木」を徐々に増やしていきます。
この流れから築年数が経過すると被害も多くなる理由も納得できますね。
シロアリは人間に気づかれないくらい、ゆっくり時間を掛けて建物を浸食しているということです。
シロアリは光と風にものすごく弱いデリケートな生き物です。
紫外線を浴びたり、風にあたり乾燥すると死んでしまう弱い生き物だからこそ、地中に生息しています。そこで、地中から上がってくるところの対策を行っておくことが大切になります。
シロアリは、普通のアリやハチのように集団行動をしますが、アリやハチのように単独行動は行いません。動きも遅く外敵から身を守る術も乏しいことから常に集団で行動します。
そして、シロアリは集団で生き抜くため「危ないところがあったら、仲間にここ危ない!」ということを知らせる能力があります。
ここまでシロアリの種類、特性、弱点、能力をお伝えしてきました。
種類では被害確率の高いヤマトシロアリとイエシロアリを知って、特性では蟻道により建物を侵食、弱点では光と風に弱いので土の中からニオイで感知、能力では危険があると仲間に知らせることを知っておいてください。
これらを踏まえて次回は、具体的なシロアリ対策とシロアリに関する素朴な疑問をご紹介します。