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2024.06.20

【新築時の対策が重要】住宅のシロアリ対策とは?(後編)

こんにちは、太陽ハウジングです。

 

今回は、住宅のシロアリ対策についての後編コラムをお届けします。

 

▼6/13公開のコラムはこちら

【新築時の対策が重要】住宅のシロアリ対策とは?(前編)

 

前編では、シロアリ対策の重要性、シロアリの種類、特性、弱点、能力をお伝えしてきました。

後編では、前編の内容を踏まえて、シロアリに関する素朴な疑問と具体的なシロアリ対策をご紹介します。

 

■シロアリQ&A

まずは、シロアリ対策に関する素朴な疑問「シロアリ対策Q&A」をご紹介します。

勘違いQ&Aとも言える内容となりますので、このコラムで正しいシロアリ対策を知ってください。

 

 

Q.防蟻保証があるから大丈夫じゃないの?

A.防蟻処理をしても、100%大丈夫といえるものではありません。

 

防蟻保証は10年あり、10年後に再度防蟻剤を散布することで保証を5年間延長していきますというものです。適切なメンテナンスを行っても被害確率は半分くらいになるので防蟻処理をしたからといって100%大丈夫といえるものではありません。

ただ、防蟻処理をやらないよりやったほうがシロアリ被害に遭う確率は下がるので、意味がないわけではありません。

 

 

Q.隣に古い建物がないからシロアリ被害って受けない?

A.正直、あまり関係ないと思ったほうが良いです。

 

「うちは隣に古い家がないからシロアリ被害は受けない」、逆に「うちは隣に古い家があるからシロアリ被害を受けやすい」など良く聞かれる質問ですが、関係ないと考えて良いでしょう。

日本で1番被害のあるヤマトシロアリは遊牧民のように餌を求めて集団で移動する習性があります。

イエシロアリは本巣から半径100メートルの広範囲を移動すると言われています。

よって、お隣が古い家、新しい家というのは関係なく、どこでもシロアリ被害を受けるリスクがあるということを覚えておいてください。

 

 

Q.ベタ基礎であればシロアリ被害を受けない?

A.ベタ基礎でも被害を受けるケースもあります。

 

ベタ基礎はすべてコンクリートなのでシロアリが入ってくるところはないと思いたいですが、ベタ基礎だからといって大丈夫ということはありません。

もちろん、土が丸見えの基礎(布基礎)より被害は抑えられますが、セパレーター金具の隙間、配管やガス管やPF管の隙間、基礎の底板と立ち上がりの打ち継ぎ部に隙間がある場合があります。その隙間からシロアリが入ってきます。

よってベタ基礎だからシロアリ被害に遭わない、安心と考えるのは違います。

 

 

Q.シロアリ被害は暑い地域の話で寒い地域は関係ない?

A.北海道でも被害が出ています。

 

北海道北部のすごく寒いところでは被害はないというのはありますが、日本で1番被害の多いヤマトシロアリは北海道でも被害が出ていま

す。寒い地域は被害を受けにくいだけで被害を受けないことはありませんので、対策は必要ということを抑えておいてください。

 

 

Q.ヒノキやヒバなら防蟻対策になる?

A.木材に防虫成分が多く含まれていても、被害が出ることはあります。

 

ヒノキやヒバは木の種類(樹種)のことです。

「うちはヒノキやヒバを使っているのでシロアリ対策は大丈夫です」という工務店もありますが、ヒノキやヒバにはヒノキチオールという防虫成分が多く含まれているためシロアリを防ぐ効果があります。他の木と比べたら食べられにくいというのはありますが、シロアリにとって苦手なだけで食べられないわけではありません。

 

苦手な木材であっても、目の前にあれば食べてしまいます。材質が硬いことで食害スピードが通常より遅くなったとしても被害があることには変わりありません。予防をせずに放置していれば、いずれ他の木材と同じように柱や土台などがボロボロになる日が来ると思います。

 

Q.鉄骨住宅だからシロアリ被害ってないよね?

A.家の構造とシロアリ被害は全く関係ありません。

 

シロアリ被害は木造住宅でしか起こらないと誤解している方がとっても多いのですが、実はシロアリ被害は軽量鉄骨や重量鉄骨などの鉄骨造住宅でも起こります。家の構造とシロアリ被害は全く関係ありません。

 

鉄骨住宅は、骨組みは鉄骨で出来ていても、下地や床組材、内装材などはどれも木材で骨組み以外の場所で木材はふんだんに使われています。

鉄骨は食害しなくても、シロアリにとってのエサである木材が使われている以上、鉄骨住宅だからといっても安心はできませんので、鉄骨住宅だろうと適切なシロアリ対策は必要です。

 

 

Q.基礎断熱より床断熱のほうがシロアリ被害に遭いにくい?

A.基礎断熱のほうがシロアリ被害を見つけにくいです。

 

床断熱と基礎断熱とは、床下の断熱工法の名前です。

・床断熱

床板の下に断熱材を入れる工法で、現在建築されている住宅の多くが採用しています。床下空間には断熱施工を行っておらず換気できる状態となっているため、外気が床下を通る構造になっているので床下の通気性が良く、湿気がたまりにくいことが特徴です。

・基礎断熱

住宅の基礎部分に断熱材を施工する工法で床断熱の場合、床下空間は外気が通る「屋外」という扱いですが、基礎断熱では床下を「室内」として扱います。床下空間も断熱されて温かいため、床が冷たくなりにくく、床下を通る配管の凍結も防ぐことができます。

また、気密性が高い、断熱材を厚くできることから断熱性を高めやすいことが特徴です。

 

結論をお伝えすると、基礎断熱のほうがシロアリ被害に遭いやすいではなく、シロアリ被害を見つけにくいというのが正しいかなと思います。基礎断熱は断熱材が基礎に張り付いています。基礎と断熱材の隙間にシロアリが入ってきたとき見つけにくいデメリットがあります。ただし、床断熱がシロアリ被害を受けないということはありませんので、シロアリ被害に遭わせないような適切な対策をしなくてはなりません。

 

ちなみに、基礎断熱には基礎の外側に断熱材を施工する「基礎外断熱」がありますが、断熱材が土に接触しているので、シロアリ被害に遭いやすいというのが住宅業界の常識です。

防蟻処理された断熱材を使用、断熱材と土が接触する部分をプラスチック素材で覆う、シロアリが突破できないテープで覆うなどの対策でも完璧なシロアリ対策は難しいとされているので、基礎断熱の場合は北海道北部の寒冷地を除いて断熱材は基礎の内側に施工することを抑えておいてください。

 

 

Q.ベタ基礎一体打ちだとシロアリ被害は出ない?

A.隙間がなくなるため、効果的なシロアリ対策といえます。

(ちょっとマニアックですね)

 

ベタ基礎には2種類のコンクリートの打ち方があります。

基礎の底板(ベース)を打って、その後立ち上がりを別で打つ。2回に渡ってコンクリートを打設するので「二度打ち」と言われています。

一体打ちは基礎の底板(ベース)と立ち上がりを一気に打設します。

どちらが良いか・・・?

一体打ちのほうが底板(ベース)と立ち上がりの打ち継ぎがないので隙間がなくなるメリットがあります。隙間がないことからシロアリ対策になります。

 

ただコストがね…非常に上がります。

一般的には、コストを抑えた二度打ちをしたうえで、基礎の打ち継ぎ部分や配管などの隙間含めて適切なシロアリ対策をしたほうが良いかもしれません。

 

その上で、基礎一体打ちはオススメな方法なので、お金のある方や予算に余裕のある方は、ぜひ取り入れてください。

 

 

Q.セルロースファイバーの断熱材はシロアリ対策に効果ある?

A.セルロースファイバーは効果あります。

 

セルロースファイバーは、ゴキブリ退治に使われるホウ酸ダンゴと同等の成分が少量だけ入っているからです。

前回のコラムでも触れましたが、シロアリはゴキブリの仲間なので、ホウ酸ダンゴには耐えられません。

シロアリはホウ酸を食べると死んでしまいます。つまりホウ酸を含んだ素材は、家の損壊を防げるということになります。

 

また、セルロースファイバーは防音効果に優れた断熱材とも言われています。

断熱材を防音効果順に並べると、このようになります。

 

グラスウール<ウレタンフォーム<セルロースファイバー

 

このようにセルロースファイバーは優れた断熱材ですが、これだけでシロアリ被害を防げるわけではありません。

セルロースファイバーの断熱材は食害されませんが、そのまわりにある木材は食害されます。

有効ではあるけどそれだけではシロアリ対策は不十分といえます。

 

これから説明する具体的なシロアリ対策を実施した上で、プラスアルファの対策を行っていただけると良いと思います。

  

■具体的なシロアリ対策とは?

ピレスロイド系の防蟻防湿シートを施工することがオススメです。

防蟻防湿シートは各メーカーから出ており、種類や厚みも様々ですが、有名どころとしては「ターミダンシート」と思います。迷ったらターミダンシートを使っていただけたら良いと思います。

 

どのようなものかと言うと、「基礎の下にシートを敷いてバリアを作りましょう」ということです。

シロアリは基礎の下から上がってくるので基礎と土の部分に防御壁を作って、配管まわりは防蟻フォームを吹き付けて隙間をなくしていくことです。

 

これが非常に効率の良い理由は、一般的に多い防蟻対策は防蟻剤を散布したり、断熱材を変えたり、樹種(木の種類)を変えたりとか、すべてシロアリが建物の中に入ってきた後の二次対策になります。入ってきた後に食害されないようにしましょうということです。もちろん大切でやらないよりやったほうが良いと思います。

 

例えるなら、風邪をひいて風邪薬を飲むもの大切ですが、その前にマスクや手洗いうがいで菌やウイルスを体内に入れない一次対策のほうが大切ですよね。

 

それと同様に、防蟻防湿シートを施工することでシロアリが建物内に入ってこないようにすることが効率の良いことと思います。

ピレスロイド系の防蟻防湿シートは、水溶性(水に溶ける性質)が低く、紫外線に当たらなければ、永久的に効果が続くと言われていますので、長期間にわたりシロアリ対策効果が持続します。しかもメンテナンスも不要です。

 

このシートには、シロアリの危険を仲間に知らせる特性を活かした忌避性により退散させる効果があるので、効率が良くオススメしている理由になります。

 

ちなみに、防蟻防湿シートには、「ネオニコチノイド系のシート」もあります。

農薬の一種でネオニコチノイド系は殺虫効果がありますが、忌避性はありません。

 

また、水溶性(水に溶ける性質)が高いため、しばらくは安定して効果を発揮してくれますが、年々、雨により溶け出し、基礎の下に施工するため地中からの湿度により、効果が少しずつ落ちてしまうリスクがあります。

ネオニコチノイド系というのは、土壌汚染とかで問題になった成分でもあるので、人や環境への悪影響も懸念されているためオススメしません。

 

シート施工時も家を1枚で覆うシートはありません。重ねて敷いていくので隙間がないようにすること、破れた場合はしっかり穴を塞ぐ、配管まわりも防蟻フォームで隙間をなくす、あと基礎より少し広めに敷いてもらうことで横側から入ってくるシロアリも防ぐことができますので施工の際に、お願いしてみてください。

 

あと、エコキュートやエコワンなどの架台コンクリートやウッドデッキの下のコンクリートも侵入ルートになりやすいので、その下の部分まで防蟻防湿シートを施工しておくことは有効です。施工会社さんに相談して施工してもらったほうが良いと思います。

 

 

 

最後に、シロアリ対策のまとめです。

まず、一次対策としてピレスロイド系の防蟻防湿シートを施工することを第一優先で行ってください。

その上で二次対策の防蟻剤の散布などプラスアルファで実施していただくことが大切です。

 

順番を間違えないようにするのがポイントです。

シロアリ対策をして安心して暮らせる家を目指していただければと思います。