太陽ハウジングの家づくりコラム
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2024.06.27
【バルコニーいる?いらない?】バルコニーがいらない理由&バルコニー推奨パターンと設置する際の注意事項とは?
こんにちは、太陽ハウジングです。
家づくりをしている方の中には、バルコニーをつけるかどうかで悩まれている方も多いかもしれません。
(バルコニーはいる?いらない?)と、ご家族やご夫婦の中でも意見が分かれるのではないでしょうか?
従来、2階建て以上の住宅ではバルコニーを付けることは常識でした。
しかし最近は、その常識が見直されてバルコニーを付けない方が増えています。
では、実際に家づくりをしている方の何割くらいの方がバルコニーを付けるor付けていないのかって気になりませんか?
そこで今回は、最近減ってきたバルコニーを付けない理由とバルコニー推奨パターン(付けても良いという意味)と、設置したバルコニーを無駄にしない注意事項をご紹介します。
現在「バルコニーはいらない」と思っている方には、このコラムで確信を得ていただいて、「バルコニーを設置したい」という方は注意事項をしっかり押さえて無駄の少ないバルコニーの作り方を覚えていただけたらと思います。
■バルコニー設置率
実際に最近家づくりをした方の中で、バルコニーを設置している方は何パーセントくらいでしょうか?
太陽ハウジングで建てた建物の直近5年間のデータを調べてみました。
2020年
バルコニー設置率61%
2021年
バルコニー設置率49%
2022年
バルコニー設置率44%
2023年
バルコニー設置率20%
2024年6月時点
バルコニー設置率14%
※バルコニー、ベランダ、ルーフ含む
バルコニーを設置する方は年々減少していることが分かりますね。
2020年と2024年を比較すると、バルコニー設置率は47%も減り、直近では8割以上の方がバルコニーを設置していないことがわかります。
■バルコニーを設置しない理由
なぜ、バルコニー設置率が下がったのでしょうか?
ここからバルコニーを設置しない方が増えてきた理由を説明します。
・あまり使わない
家を建てる前は「バルコニーに机とイスを置いてちょっとお茶とかしたい」「土地が狭くて庭が取れないから屋上バルコニーでバーベキューしたい」など、バルコニーに夢を抱く方もいるかと思います。実際にちょっと広めのバルコニーや屋上バルコニーを作って、お洒落な机やイスを買ってみても1年経ったら使わなくなるものです。
・メンテナンスが大変
バルコニーは雨に濡れるところになりますので、きちんと防水のメンテナンスをする必要があります。
バルコニーの防水で、一般的に多いのが「FRP防水」と思います。
FRP防水は大体10年で防水のやり直しが必要です。FRP防水は10年の初期保証があるので、10年毎に防水のやり直しをして保証を延長していきます。
また、バルコニーにエアコンの室外機を置いているケースが多いので、防水のやり直し時は室外機を一旦違う場所に動かす必要もあります。
メンテナンス費用はバルコニーの広さによって異なり、諸々のメンテナンス費用は10㎡で約10万、15㎡で約20万となります。
屋上バルコニーだったら何十万から100万超える場合もあります。
メンテナンス費用がかかり、そんなに使わないなら、バルコニーを設置しない方がいいのかもしれません。
ただし「バルコニーが欲しい!」というご家族に向かって「そんなところにお金をかけたくない」と言ったらどうなるか・・・という難しい問題はありそうです。
・雨漏りする
バルコニーというのは屋根より防水性能は低いです。
だから屋根よりも先に雨漏りしやすいのがバルコニーです。
しかもメンテナンス費用が高いのでメンテナンス事態を先送りにしがちです。
雨漏りしたら家を構成する木材が腐ります。木が腐ると木材腐朽菌が発生します。
木材腐朽菌が発生するとシロアリが寄ってきてシロアリによる被害も発生します。
シロアリ被害が起きると、家の耐震性が下落ちて、家の寿命を縮めていくことになります。
・設置コストが高い
バルコニーは延べ床面積に入らないですし、固定資産税の評価にも影響はしませんが、バルコニーの設置コストって結構高いことをご存じですか?
おおよそバルコニーの設置コストは1㎡で10万円前後。
小さなバルコニーで約30万、2坪(タタミ4帖くらい)で50万以上と決して設置コストは安くありません。
あまり使わず、メンテナンス費用がかかって、雨漏りのリスクもあるところに初期費用をかけるくらいなら、LDKを広くしたり収納を大きくしたりなど、そちらにコストを掛けたいと考える方が増えているようです。
・掃除が大変
バルコニーは屋外にあるものなので、雨や風にさらされる場所です。
埃や塵、落ち葉など飛んできます。すぐに汚れてしまうため本当に掃除が大変です。
共働き世帯や子育て世帯など、家事負担を減らす家事ラクな間取りや仕様を希望している人が多い中、掃除をする箇所を増やすことになります。
ただ、上記の内容があったとしてもバルコニーを付けたい方はいると思います。
何でもかんでも経済合理性とか費用対効果とかで考えたら家づくりも人生も面白くありません。やりたいという気持ちを大切にするのが家づくりの本質だと思っています。何事もデメリットを理解した上であれば良いのではないでしょうか。
■バルコニーの設置推奨パターンと注意点
まずは、バルコニーを付けようか悩んでいる方に、この場合はバルコニーを設置しても良いですよという場合をご紹介します。
・外で洗濯物干したい場合
新居でも外干しを考えている方は、おそらく実家の影響が大きいのではないでしょうか。。
実家で外干しをしていた、実家に日当たりの良い使いやすいバルコニーがあったなど、洗濯物の外干しが日常的な場合は全然良いと思います。
ただし、洗濯物を2階のバルコニーに干す場合は、間取りに気をつけてください。
洗面室(洗濯機があるところ)から階段、階段から2階のバルコニーへの動線が遠いと大変になりますので、間取りを考える際は、洗面室(洗濯機があるところ)⇔階段⇔2階のバルコニーをなるべく近いスムーズな動線になることを意識してください。
とはいえ、雨の日とか花粉の時期など外に干せない日もあると思いますので、バルコニーで外干しする方も部屋干しスペースは確保しておいたほうが良いですよ。
・2階LDKの場合
2階LDKのバルコニーは良いと思います。
リビング続きでバルコニーを設置することで庭のようになりますし、空間が広がりますので、バルコニーを付ける効果が高いと思います。
ただしバルコニーを大きくしすぎないようにしてください。
■Q&A「バルコニー編」
ここでバルコニーに関するQ&Aをご紹介します。
Q.窓に付ける「布団干しバー」ってどうですか?
A.あまりオススメしません。布団干しよりも効果的な方法があります。
ダメじゃないですけど、結構使いづらいという話を聞きますのでオススメはしません。
布団って重いですよね。その重い布団を窓越しに出して乗り出したら危ないと思います。また、窓も全部開くわけではなく半分しか開きません。布団より幅が狭いことが多いので、そこから布団をバーに掛けるというのはほんとに危ないと思いますよ。
また、布団干しバーに布団を掛けると直接外壁にあたります。外壁部分もそんなきれいではないですし、窓のレールや枠も汚れていると思います。そんなところに干したら布団が汚れてしまいますよね。
そもそも布団を外に干すというのは布団がポカポカして気持ち良いくらいの効果くらいしかありません。ダニは日光くらいじゃ死なないですし、日光が当たらない裏側に逃げるだけのようです。(ちなみに、ダニ対策は50℃以上の熱を30分以上当てる必要があります。)
あと、布団をバンバン叩く方もいると思いますが、今すぐやめましょう。
バンバン叩くことで、布団の中のダニの死骸やフンがコナゴナになり、布団の繊維も崩れて埃が出やすくなってハウスダスト化します。絶対にダメですよ。
布団の湿気を抜きたいなら、部屋の中に干す。ダニが気になる方は布団乾燥機を掛けて掃除機で布団の裏表を吸うこと。
Q.サンルームってどうですか?
A.あまりオススメしません。
サンルームは想像よりも暑いですよ。湿気も籠ります。
経年劣化でボロボロになって、最後は汚い物置になっていくのが目に見えていますので、設置はオススメしません。
Q.バルコニーをまたがずフラットにする方法はありますか?
A.あります。ただし、構造によるためご相談ください。
通常バルコニーに出る窓の足元に「またぎ」という立ち上がりがあります。これは防水層を確保するためサッシ下に最低12センチくらい必要です。「またぎ」がないとバルコニーに降った雨が室内に入ってきてしまうからです。
まず、バルコニー自体を下げて「またぎ」をなくします。これだけだとバルコニーに出るときは下りる感じになるので、その段差を埋めるためデッキなどを施工してフラットにすることが可能です。また外と内をフラットにする場合はフラットレール、ノンレールサッシなど各社出ていますので参考にしてみると良いと思います。
ただ、バルコニーをまたがずフラットにすることは、費用も掛かりますし、構造的に出来る出来ないもありますので相談していただければと思います。
Q.板金防水(金属防水)ってどうですか?
A.ノーメンテナンスなのでズボラさんにオススメです。
板金防水はバルコニーの防水の種類になります。
板金防水は「ノーメンテナンスです」とメーカーは言っています。グレードによっては30年保証が付いているので。FRP防水と比べると導入コストは倍くらいかかるかもしれませんが、10年毎の防水のやり替えが不要のため、私のようなズボラさんにはオススメです。
ただし、板金防水にもデメリットがあります。
保証の延長ができないというデメリットです。
板金防止の保証は10年と30年に2種類ありますので、30年保証、具体的に言うと亜鉛メッキ鋼板ではなくステンレス鋼板を選んでいただければと思います。
ただし、新建材で長期使用の実績が少ないため保証が切れた場合、雨漏りリスクがあると思っていただいたほうが良いかもしれません。
Q.バルコニーがない場合、室内干しだけではスペースが足らなくないですか?
A.脱衣室やランドリールーム以外にも、昇降式の物干し金物をつけておくと良いと思います。
家族4人となると確かに足らないと思います。部屋干しスペースが足りないと思う方や不安に感じる方は、脱衣室やランドリールーム以外にも物干し金物を付けておいてください。
室内干しスペースは脱衣室やランドリールームだけでなく、LDKや和室(タタミコーナー)でも良いと思います。ポイントは物干し金物を昇降式にすることです。
室内の物干し金物の種類は多いですが、よく見かけるのが川口技研のホスクリーンじゃないでしょうか?
特に費用が安いホスクリーンスポット型を選ばれる方も多いと思いますが、これをリビングに付けてしまうと、大体ずっと付けっぱなしに…なんてことに。
リビングに室内干し金物を付ける場合は、昇降式がオススメです。
ちなみに、スポット型や昇降式の物干し金物の荷重目安は8キログラムです。
4人家族の脱水後の洗濯物が11~14キログラムなので脱衣室やランドリールームで物干し金物を使う場合はBAR型が荷重目安15キログラムとスポット型や昇降式の倍はいけるのでオススメです。
ただしBAR型は固定のため移動ができません。設置の際はしっかり金物の位置や動線を考慮してください。
あと、オススメはガス衣類乾燥機の乾太くんです。付けるなら9キロデラックス。
乾太くんを付けるだけで物干しスペースはほとんど解決できるんじゃないかと思います。
■バルコニーを設置する際の注意事項
では最後に、どうしてもバルコニーを設置したいという方に向けて「バルコニーを無駄にしない」注意事項をご説明します。必ず守ってください
・バルコニーを広くしすぎない
バルコニーは広くした分、設置コストもかかります。メンテナンス費用もかかるので必要最低限にしましょう。
・メンテナンスを行う
バルコニーの防水メンテナンスは足場を組まなくてもできますので、外壁や屋根に比べたら、そんなにコストもかかりません。
10年経過したら不具合がなくても、必ずメンテナンスを実施すること。
雨漏りしてから直すのは難しいですし、構造材が腐ってしまったらどうすることもできません。先送りせず早め早めのメンテナンスを心掛けてください。
・バルコニー水栓を設置する
混合水栓ではなく単水栓の水だけで良いですので、バルコニーに水栓を付けておくのはオススメです。
費用は数万円かかるかもしれませんが、掃除がとても楽になります。
バルコニーは結構汚れます。雑巾で拭いて取れるような汚れではないのでブラシなどでガシャガシャ擦ることになると思いますが、水栓がないとバケツに水を入れて何往復もすることになりますよね?
大変な作業になればどんどん掃除をやらなくなるので、バルコニー設置の際は水栓を付けていただいとほうが良いと思います。
・屋根(庇)を付ける
バルコニー全体でなくても良いので、屋根を付けてください。
屋根がないと直射日光で洗濯物がパリパリになってしまいます。
洗濯物は原則として、直射日光の当たらない場所で衣類なら裏返しにして干すのがおすすめです。
(裏返しておくことで繊維の毛羽立ちを抑えてダメージを軽減することができます)
バルコニーの一部でも良いので、屋根を付けることを意識してみてください。
・風の通り道を作る
風の通り道を作ることは(細かな部分ですが)大事です。
バルコニーを設置する場合は、建物の角に寄せて2面を抜けるようにしましょう。
両側が壁だと、風の吹き溜まりになって埃や塵も溜まりやすく、虫も寄ってきやすくなります。風が通りにくいので、洗濯物を干しても乾きにくくなるデメリットもあります。
バルコニーを設置するときは、2面を抜いて風通しが良い状態にすることを意識してみてください。
今回はバルコニーについてお伝えしてきましたが、改めて整理してみてもバルコニーの設置のメリットは少ないと感じます。
「バルコニーをどうしてもつけたい!」という方以外は設置しないほうが良いかもしれません。
ただし「どうしても設置したい方」や「2階LDKの場合」はメリットがありますので、バルコニーを設置する場合は、今日お伝えしたバルコニーの注意事項を押さえていただき、コスパが良く自分たちに合ったちょうど良いサイズのバルコニーを作っていただければと思います。
以前にもお伝えしましたが、大切なのは、「何をやるか」よりも「何をやらないか」です。
自分たちにとって必要ないという判断をする力を養う材料として、今回のコラムを活用していただけたらと思います。