太陽ハウジングの家づくりコラム
- TOP>
- 家づくりコラム
2024.09.05
【ズボラさんシリーズ】ズボラさんがキッチンで失敗しない設備・仕様とは?
こんにちは、太陽ハウジングです。
今回のコラムは掃除が嫌いで片付けが苦手なズボラさんでもキッチンで失敗しないための「設備や仕様」「収納」「レイアウト」を3回にわたってご紹介します。
第1回目は「キッチンの設備・仕様編」です。
キッチンは毎日使う場所だからこそ、使い勝手やお手入れのしやすさはもちろんデザインなどの見た目、動線など失敗したくないですよね?
InstagramやYouTubeで紹介されているオシャレなキッチンを参考に家づくりをする方も増えていますが、見た目だけを重視してしまうと、実際に住み始めた後に「オシャレだけど使いづらい」「リビングから丸見え」「キッチンまわりが散らかる」「収納が足りない」ということになりかねません。
キッチンはテンションも価格も上がりがちな場所です。住んでから失敗したと後悔しないためにも冷静に考えてみてください。
建物が完成して素敵なキッチンではなく、実際に使い始めて散らかりだしてもキレイに見えて機能的なキッチンを目指してほしいと思います。
それでは、掃除が嫌いで片付けが苦手なズボラさん向けのキッチン設備と仕様、レイアウトをご紹介します。
また、キッチンづくりの基本的なテクニックも合わせて説明していますので、ズボラさん以外の方にも参考にしていただければと思います。
■食洗機
食洗機はスライドオープン型とフロントオープン型があります。
住宅会社のキッチンには、標準でスライドオープン型の食器洗い乾燥機は付いていますが、ほとんどが浅型の場合が多いです。
使い勝手を考えるなら、(少し価格が高くなりますが)スライドオープン型の食器洗い乾燥機は浅型ではなく深型を選ぶと良いと思います。浅型と深型では容量が20リットル、約1.5倍の容量差があります。浅型の食洗機は思った以上に食器も入らないですし、フライパンなども収まらないことがあります。
スライドオープン型の食洗機は、少しコストがかかりますが深型をオススメします。
次に、フロントオープンの食洗機は国内メーカーであればリンナイorパナソニック。コスパで選ぶならリンナイ製がオススメです。(パナソニック製の性能は良いですが、値段が少し高く、通常運転時間はリンナイ製の倍の4時間かかります)
ただ、フロントオープンは、キッチンの種類によっては、設置できるが収まりが悪く不格好になってしまったり、設置できなかったりするケースもありますので事前に確認しておきましょう。
また、海外メーカーのミーレやボッシュの食洗機の洗浄力は強力なので、洗浄力を求める方は海外製がおすすめです。ただし日本製のような温風を使用した乾燥機能ではなく自然乾燥に近い乾燥となりますので注意が必要です。
かなり価格が高くなりますが、予算に余裕があればフロントオープンも検討していただいても良いと思います。
■水切り金物
ズボラさんは食器をまとめて洗うことが多く、食洗機にすべての食器が入らないことがあります。また、食洗機に入れられない食器やコップも案外多いのではないでしょうか。
そのため、メーカー純正の水切り金物を設置することをおすすめします。メーカー純正のものはシンクにぴったりフィットし、価格も比較的手頃ですので、付けておくと便利です。
■コンセント
キッチンではコンセントを使う機会が多いので、必ずコンセントを付けてくださいね。
※出典 LIXIL
コンセントが付いているキッチンもありますが、コンセントがない場合はキッチン正面の腰壁を立ち上げてコンセントを設置するのがおすすめです。
ミキサーやジューサー、ハンドブレンダーなどを使用する際に、別の場所から延長コードで引っ張ってくるのは安全面でリスクがあるため避けたいところ。便利で安全に使えるキッチン作りを心がけましょう。
■レンジフード
レンジフードは掃除のしやすさを重視して選びましょう。
特にガスコンロを採用した場合は、火を使うことで上昇気流が発生するため、煙や油がレンジフードにしっかり吸い込まれて汚れやすくなります。
ショールームなどでは、実際にレンジフードを開けて「どれくらい簡単に掃除ができるか」などをしっかり確認してください。
Q.レンジフードの自動洗浄機能ってどうですか?
A.自動洗浄機能があっても、まったく汚れないわけではありませんので、掃除が完全に不要になることはありません。
「掃除が一切不要になる」と思われているお客さまも多いので注意していただけたらと思います。レンジフードの自動洗浄機能は、まったく汚れないわけではなく、油や煙、ホコリなども吸い込むため、どうしても汚れます。
ただ、自動洗浄機能は掃除がしづらい内部のファンを自動洗浄してくれるため、ファンを取り外して手でゴシゴシ洗う手間を軽減することができます。
たまに「10年間ノーメンテ」の表記を見かけますが、「〇〇部分が10年間ノーメンテ」という意味です。洗浄機能も全自動ではなく、お湯をセットしたり、トレイの水を捨てたりといった手間は少なからず発生します。
ファンを取り外してベトベト油汚れを自分で洗う負担を考えれば、ズボラさんにとっては悪いものではありません。ただし、故障リスクが少し上がるというデメリットはあるので、その点を理解した上で検討していただければと思います。
■コンロ
コンロを「ガスコンロにするか」「IHヒーターにするか」で悩む方が多いと思います。ネットやYouTubeでも「ガス vs IH」の比較をよく見かけますが、それぞれの特徴を簡単にまとめてみました。
【使い勝手】
・ガスコンロ
操作が点火と火力調整のみでシンプル。長年ガスコンロを使用している方や年配の方は使い慣れているため、ガスコンロのほうが使いやすいと感じるかもしれません。
・IHヒーター
操作が点火と火力調整のみでシンプル。長年ガスコンロを使用している方や年配の方は使い慣れているため、ガスコンロのほうが使いやすいと感じるかもしれません。
【お手入れ】
・ガスコンロ
五徳などのパーツがあるため、取り外してお手入れする必要があるため手間がかかります。レンジフードの説明で少し触れましたが、火を使うことで上昇気流が発生して煙や油がレンジフードに吸い込まれるため、コンロまわりには汚れが広がりにくいです。
・IHヒーター
フラットな天板のため、使用後は拭き取ればお手入れ完了。五徳などパーツを外して洗う必要がなく、ガスコンロに比べて掃除が簡単です。ガスコンロと違い火を使わないため上昇気流が発生せず、コンロまわりや(正面や横に壁がない場合は)床が汚れます。
【料理】
・ガスコンロ
強い火力で鍋底や鍋肌全体を加熱できるため、チャーハンなどの炒め物が美味しく仕上がります。火であぶったり焦げ目をつけたり鍋を振ったり、火力の微調整が自由にできるので、料理の幅が広がります。
・IHヒーター
天板に触れている鍋底のみ熱が伝わるため鍋全体を加熱するのに向いていません。
鍋底は温度が高くなりますが、鍋肌は加熱されないため加熱ムラが起こる場合もあります。
温度設定が簡単にできるため、煮物や蒸し物、揚げ物料理が得意です。
【安全性】
・ガスコンロ
火があるため火災のリスクがあります。火災原因のランキングはで相変わらず上位にガスコンロがあります。ただ、最近のガスコンロは高温になると自動で火力を弱めたり消化するセンサーが付いていますので安全になったかもしれません。
・IHヒーター
火がないため何かに引火して怒る火災のリスクはほぼありません。
それぞれの特徴を見ていただいた上で、使い勝手や好みで決めていただけたら良いと思いますが、ズボラさんはIHヒーターをおすすめします。IHヒーターはエネルギー効率が良く、何より掃除が楽ちんです。ズボラさんが苦手なお掃除も、コンロの天板と周辺に飛んだ油汚れを拭くだけでおしまいです。レンジフードもガスコンロと比べて汚れにくく、火を使わないからキッチンが暑い問題も少し解消できると思います。
(ちなみに、私はズボラですが鍋を振りたい派なのでガスコンロ派です。)
Q.コンロの幅は60センチと75センチがありますが、どちらが良いですか?
A.コンロの60cmと75cmはそれぞれメリット・デメリットがあります。コンロをフル活用したり大きな鍋を使うことが多ければ75cmタイプ、調理スペースを広く取りたい場合や少しでも安くしたいなら60cmタイプがおすすめです。
60cmタイプはコンロ内のスペースは狭くなりますが調理スペースが広く取れます。反対に75cmタイプは、コンロ内のスペースが広い分、調理スペースが狭くなります。
60㎝のものと75㎝のものでは互いにほぼ真逆のメリット・デメリットがありますので、どちらが良いかという判断は、それぞれのおうちでの調理スタイルや現在のキッチンの状況をよく考えたり、プロのアドバイスに従って決めることをおすすめします。
Q.コンロの正面の壁は必要ですか?
A.コンロ正面の壁は、基本的に付けた方が良いと思います。
IHの場合はそんなに汚れが散らないのでなくても良いですが、ガスコンロの場合は必須です。また正面だけでなく横にも壁があったほうが良いと思います。
フルフラットキッチンにして壁を付けずに油が飛び散る料理をするときは、油の飛び跳ね防止ができる使うときだけ取り出して設置できる折りたたみ式の「油跳ねガード」があります。ホームセンターやニトリ、最近は100円ショップでもありますね。この油跳ねガードを前提に壁を付けない選択は危険です。油の飛び跳ねは防止できるかもしれませんが、料理の度に油跳ねガードを出したり片づけたり、掃除も必要です。とても面倒なので素直に壁を付けてくださいね。
■水栓
水栓の形状は、お好みで選んでいただいて良いと思います。
タッチレス水栓にするかで悩む方もいらっしゃいますが、タッチレスは非常に便利です。ただし、タッチレス水栓は水の温度や水量を調整するのは手動となりますので、その点はご注意ください。必須とまではいかないものの、導入して失敗したと後悔は少ないかもしれません。
タッチレス水栓を導入する方は、停電や故障時に慌てないために、手動に切り替える方法は事前にマスターしておいてくださいね。
■浄水器
浄水器もお好みで選んでいただいて良いと思います。
浄水器を導入する場合は、除去物質の種類によって性能も価格も変わります。またカートリッジの交換時期も考慮してください。
私自身、水が美味しいところで育ちましたが、関西に住んでいたときは、浄水器を付けても水道水が美味しくなく飲むことができませんでした。このようなケースもあるので、浄水器の導入を検討する方は、その浄水器を使った水を飲んでから決めたほうが良いと思います。
ちなみに、愛知県は水道水が全国でも2~3位にランクインするほど美味しいと言われています。私も浄水器なしで飲んでいますので、このエリアの方はよっぽど過敏な方でなければ浄水器は必須ではないかもしれません。
■対面キッチンのタイプ
対面キッチンには、「オープンタイプのフルフラットキッチン」と、造作で壁を立ち上げた「造作タイプのキッチン」があります。お好みで選んで良いかもしれませんが、ズボラさんは手元が隠せる造作タイプのキッチンをおすすめします。
造作タイプのキッチンは散らかりがちなキッチンの手元を隠せる上、コストも抑えられます。また、壁にコンセントを付けることもできるので、使い勝手も良いです。
オオープンタイプのフルフラットキッチンは天板部分(物を置くスペース)が広く、見た目もオシャレです。(インスタやモデルハウスで良く使われるのも分かります)ただし、手元が全部見えてしまうデメリットがあるということを覚えておいてください。
キレイに保つ自信のある方はフルフラットキッチンでも良いですが、ズボラさんには手元を隠せる造作タイプのキッチンが良いかもしれませんね。
ただし、1つの考え方として、壁を立ち上げて目隠しをしてしまうと物を置いてしまうズボラさんには、あえて丸見えになるフルフラットにして手元が見えてしまう状況を作ることで、掃除をせざるを得ない状況を作るという方法もあります。実際にその考えでフルフラットを採用されたオーナーさまが「その都度お掃除をするようになった」とお話されていたので、フルフラットキッチンは決してダメじゃない場合もございます。ぜひ、チャレンジしていただいても良いと思います。
■カウンター(天板)
キッチンカウンターをステンレスにするか人造大理石にするか、これも悩む方が多いポイントですが、部屋の雰囲気、床や壁材を合わせてお好みで選んで良いと思います。
・ステンレスの特徴
ステンレスは粒子結晶が細かく、汚れが染み込みにくくなっています。そのため、料理などを溢してしまった場合でも、ステンレスなら、サッと拭き取るだけで汚れを簡単に落とすことができます。またニオイが残りにくい特性もあります。
また、ステンレスは名前のとおり「STAIN(サビ)LESS(ない)」サビにくいという特徴があります。
ただし、カラーバリエーションがないためアルミ色のみです。
・人造大理石の特徴
人造大理石は汚れがつきにくく、熱や衝撃に強いメリットがあります。
細かいキズや汚れがついてもメラニンスポンジやクレンザーで落とすこともでき、白系の人造大理石であれば水垢汚れが目立ちにくく、スポンジで簡単に落とすことができます。
また、カラーバリエーションも豊富で他のインテリアに合わせて選ぶことができます。
注意点として、キッチンのカウンター(天板)を人造大理石にしたときは、シンクをステンレスではなく人造大理石にしてください。
カウンターとシンクの素材が異なると継ぎ目ができてしまいます。この継ぎ目は汚れが溜まりやすくカビも発生するので、カウンター(天板)とシンクの素材は統一していただいたほうが良いと思います。
私は人造大理石派です。理由はフォークやスプーンがステンレスに当たった時の金属音が苦手だからです。同じように感じる方がいたら参考にしていただけたらと思います。
今回はキッチンカウンターの天板について「ステンレスor人造大理石」でご説明しましたが、他にも多くの種類があります。例えば、大理石にも「人造大理石」と「人工大理石」がありますし、ステンレスも「プレス絞り加工」と「板金加工」などで変わります。また、ステンレスの表面仕上げも「ヘアライン仕上げ」「バイブレーション仕上げ」「鏡面仕上げ」などがあり、見た目の印象も異なります。さらに、セラミックやメラミン、タイル、左官仕上げなど多くの種類があり、これだけでコラムが書けそうなくらいです。
それぞれ特性(耐熱・耐水・耐傷・清掃のしやすさなど)やメリット・デメリットがありますので、それらの特性を理解した上で選んでいただけると良いと思います。
ここまでご説明した結果、「お好みで選んで良い」という表現が多めなので、「実際どっちが良いの?」と思われた方も多いかもしれません。
数多くの家づくりを見てきた私の考えとしては、「絶対にやらないといけないポイント」以外は、本当にどちらでも良いと思います。
住宅の営業は自分の会社の商品や仕様をおすすめしたいので、こっちの〇〇のほうが良いですよと言いがちです。
ただし、家づくりにおいて大切なことは、デメリットを理解して、絶対にやらなければいけないポイントをしっかり押さえて、どちらでも良いことは好みで決めると言うことです。
今回は、ズボラさんがキッチンで失敗しないための設備や仕様についてお伝えさせていただきました。
次回はズボラさんが大好きな収納編です。お楽しみに。