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2025.01.23
「意外と知られていない!?」固定資産税のよくある勘違いとは?
こんにちは、太陽ハウジングです。
家を建てるとき、皆さんは「固定資産税」についてどれくらい意識していますか?
「住んでから払うもの」と軽く考えてしまう方も多いかもしれません。
実は、ちょっとした知識の差で、5年で数十万円、一生で見れば100万円以上もの差が生まれることもあります。
例えば、家の引き渡し時期を「年内」か「年明け」にするかで、固定資産税の課税タイミングに影響を与えることがあります。
また、カーポートや物置の種類によって、課税額が変わる可能性もあります。これらのポイントを知ることで、無駄な支出を減らすことができます。
とはいえ、住宅会社の営業担当者がこれらの情報を正確に伝えてくれるとは限りません。固定資産税について十分な知識がない営業担当者もいるためです。
最終的に固定資産税を支払うのは、施主であるあなたです。だからこそ、家づくりの段階で正しい知識を持ち、自分自身を守ることが大切です。
今回のコラムでは、そんな「固定資産税」に関するよくある勘違いを、わかりやすく解説します!ぜひ最後までご覧ください。
■固定資産税って何?
固定資産税とは、土地や建物といった固定資産を所有している人に対して毎年課される「地方税」です。固定資産税の金額は、1月1日時点に所有している土地や建物の評価額に基づいて計算され、市町村が定める「固定資産評価基準」に従って算出されます。
4月〜5月に納付書が届きます。この納付書を手にしたときに「結構かかるな…」、「こんなにかかるの!?」と驚く(というかショックを受ける)方も多いと思います。
固定資産税の支払方法には、1年分をまとめて支払う方法と、4期(4回)に分けて支払う方法から選べますが、どちらを選んでも支払う総額は同じですので、ライフスタイルや家計の状況に合わせて選べます。
また、「固定資産税」と似た税金に「都市計画税」があり、まとめて「固都税(ことぜい)」と言われたりもします。
固都税は通称で正式な名称ではありませんが、不動産に詳しい人のように見せる便利な言葉です。ちょっとした豆知識として覚えておくと、「お、プロっぽい!」なんて思われるかもしれませんね。
いずれにしても、これから家を建てる方や建て替えを検討している方にとって、しっかりとした知識を身につけておくと安心です。正しい情報を知り、安心して家づくりに取り組みましょう。
また、固定資産税については、以前のコラムで詳しく説明しておりますので、こちらのコラムも読んでみてください。
固定資産税の基本的な仕組みと計算方法、知っておくべき優遇措置と固定資産税を安くする方法とは?【前編】
固定資産税の基本的な仕組みと計算方法、知っておくべき優遇措置と固定資産税を安くする方法とは?【後編】
■固定資産税でよくある勘違い
・カーポートは住んでから設置したほうが良い?
「カーポートは住んでから家屋調査後に設置したほうが、固定資産税の課税対象にならないからお得になる」を思われがちですが、これは間違いです。実際には、ほとんどのカーポートは固定資産税の対象外です
固定資産税の課税対象になるものは3つの条件があります。
・外気分断性
屋根があり、4方向のうち3方向が壁に囲まれていて、耐久性や永続性がある素材で作られている
・土地への定着性
鉄筋コンクリートなどの基礎が建物とアンカーボルトなどでしっかり固定されている
・用途性
居住、作業、貯蔵など建物が目的に応じて利用できる状態になっている
上記の3つの条件を満たさない一般的なカーポートは固定資産税の対象にはなりません。
屋根があり壁に3方向囲われているガレージのようなものは固定資産税の課税対象になりますが、4方向が抜けている一般的なカーポートは固定資産税の対象となりません。
「カーポートは住んでから家屋調査後に設置したほうが、固定資産税の対象にならないからお得になる」を鵜呑みにした場合、そもそも固定資産税の課税対象ではないためお得になりません。むしろ後から工事することによって、コンクリート斫り代や人工代が余分にかかり損をしてしまう可能性もあります。
そもそも固定資産税の課税対象ではないため、こうした工事費用を抑える意味でも、他の外構工事と一緒に設置することをおすすめします。
一般的なカーポートは、土地に定着しているため固定資産税がかかると勘違いしやすいですが、先ほどの3つの要件を満たしませんので固定資産税には影響しないことを覚えておいてください。
■外構工事の固定資産税に関するよくある勘違いQ&A
Q.ビルトインガレージやインナーガレージは固定資産税がかからないのでお得?
A.建物と同一で固定資産税の対象となります。
ビルトインガレージやインナーガレージは、固定資産税の課税対象となる3つの条件(外気分断性、土地への定着性、用途性)に該当します。
そのため、建物と同様に固定資産税が課されます。
「課税されないからお得」と勘違いしやすいですが、実際には課税対象となる点に注意してください。
Q.2面囲われているカーポートは固定資産税がかかる?
A.固定資産税の対象にはなりません。
屋根のみのカーポート、1〜2面がパネルで囲まれているカーポートは、固定資産税の課税対象となる3つの条件(外気分断性、土地への定着性、用途性)を満たさないため、課税されません。
ただし、屋根があり3面がパネルで囲まれている場合は、課税対象となる可能性があります。この違いを理解しておきましょう。
Q.敷地を塀などで囲むクローズ外構は固定資産税がかかる?
A.固定資産税の対象にはなりません。
敷地全体を塀で囲むようなクローズ外構は、「豪華に見えて高そうなので固定資産税がかかりそう」と勘違いしてしまうかもしれませんが、塀には屋根がなく外気を分断するほどの空間になるわけではないので、固定資産税の課税対象にはなりません。
豪華な見た目に惑わされがちですが、塀やフェンスだけでは固定資産税が課されないことを覚えておきましょう。
Q.物置は固定資産税がかかる?
A.物置がどのように設置されているかで異なります
物置は屋根と壁で囲まれているので固定資産税がかかる思いがちですが、定着性の要件を満たしていない場合は固定資産税の課税対象にはなりません。
定着性の要件を満たしていない例
・物置が直接地面やコンクリートの上に置かれている
・ブロックの上に置かれている
・簡単な転倒防止策が施されて設置されている
地面やコンクリートの上に単に置いた状態や、転倒防止のために簡易的に地面に固定した場合等、土地への定着性が認められないため固定資産税の課税対象になりません。
一方で、基礎にしっかりと固定されている物置は、定着性が認められるため、課税対象になる可能性があります。
Q.門壁や門柱を耐久性が高いタイルで施工すると固定資産税が高くなる?
A.門壁や門柱は建物ではないため、固定資産税に影響はありません。
建物の外壁に耐久性の高いタイル外壁にすると建物の評価が上がり固定資産税に影響を与えることがあります。しかし、門壁や門柱は建物ではなく、固定資産税の課税対象外です。そのため、門壁や門柱にどのような素材を使用しても、固定資産税には影響しません。
Q.建物の固定資産税は30年40年くらい経過したら0円になる?
A.残念ながら建物の固定資産税は何年経っても0円にはなりません。
建物は年々価値が下がっていくので、固定資産税の税率をかけるもとになる金額を減らしましょうという「経年原価補正率」という規定があります。
経年原価補正率は、建築から経過した年数に応じて決まる減価割合になります。
上記の表から木造建物の場合、築27年に評価額が20%になります。最初の建物の価値から20%で計算しますということになります。また、27年以降は下がらないことも分かります。
具体的に建物の評価額が1500万円として経年原価補正率20%なので300万円、そこに固定資産税の税率1.4%を掛けると42000円、都市計画税の税率0.3%を掛けると9000円となります。
つまり、20%分(51000円)の建物の固定資産税と都市計画税は、一生かかってしまうという悲しい現実があることが分かりますね。
ちなみに、木造建物と非木造建物(鉄骨やRC)を比べると、経年減価補正率が違い、非木造建物(鉄骨やRC)の場合は20%まで下がるのに45年かかります。価値の目減りが少ないとされているので、非木造建物(鉄骨やRC)はより多く固定資産税を負担しなければならず、木造建物より非木造建物(鉄骨やRC)のほうが固定資産税は高くなります。
Q.経年原価補正率を見る限り、やっぱり木造より鉄骨のほうが長持ちするってこと?
A.鉄骨が木造より長持ちするとは言い切れません。
経年原価補正率や減価償却年数は、実際の建物の耐久性を正確に反映しているわけではありません。そのため、鉄骨が必ずしも木造より長持ちするとは言い切れません。
確かに、昔の木造住宅は傷みやすいことがありましたが、現在では木造住宅でも断熱性や気密性を高め、耐震性も向上しています。さらに、シロアリや雨漏りへの対策をしっかり行うことで、27年で価値が20%になるようなことはありません。
木造住宅は断熱性や気密性を確保しやすく、熱橋(ヒートブリッジ)も発生しにくい構造です。さらに、固定資産税も比較的低いため、特に2~3階建ての一戸建て住宅には木造がおすすめです。
Q.建物の固定資産税に対する減税措置にはどのようなものがありますか?
A.新築住宅や長期優良住宅を対象とした固定資産税の減税措置があります。
基本的に、新築住宅は建築後3年間、固定資産税が半額になる減税措置があります。さらに、長期優良住宅の場合、この期間が5年間に延長されます。
また、固定資産税の減税措置に加え、2025年には「子育てグリーン住宅支援事業」のような補助金制度もあり、これらも長期優良住宅を条件としています。そのため、現時点では長期優良住宅を取得することをおすすめします。
現在、固定資産税の減税措置は2026年3月まで延長されているので、これから家を建てる方はぜひ活用してください。さらに、登記費用や地震保険の軽減もありますので、こちらも併せてご確認ください。
Q.年明けに入居したほうがお得になる?
A.これは一概に言えず、ケースバイケースです。
「1月1日時点で建物がないほうが建物の固定資産税がかからなてお得では?」と考える方もいるかもしれません。しかし、土地の固定資産税に適用される減税措置も併せて考える必要があります。
・小規模住宅用地の特例について
土地の上に建物がある場合、大幅な減税措置が適用されます
固定資産税:約1/6
都市計画税:約1/3
※ただし、200㎡を超える部分については減税率が半分になります。
・年明けと年内完成の比較
▼建物が1月1日時点でない場合
建物の固定資産税はかかりませんが、土地の固定資産税に対する減税措置が適用されないため、固定資産税は約6倍、都市計画税は約3倍になります。
▼建物が1月1日時点である場合(年内に建物完成)
土地の固定資産税に減税措置が適用され、固定資産税は約1/6、都市計画税は約1/3に軽減されます。ただし、建物の固定資産税が発生します。
・結論
どちらが得かは、建物の固定資産税と土地の固定資産税の減税額を比較して判断する必要があります。一概に「1月1日時点で建物がないほうがお得」とは言えませんので、注意してくださいね。
ちなみに、解体のタイミングも年明けや年内のどちらが得かを考慮する必要があります。
・解体のタイミングによる影響
▼年内に解体を始める場合
1月1日時点で土地の上に建物がなくなるため、土地の固定資産税が増加します。
▼年明けに解体を始める場合
1月1日時点で建物が残っているため、建物の固定資産税が発生しますが、土地の減税措置が適用されます。
・比較ポイント
解体のタイミングを決める際は、建物の固定資産税を回避するメリットと、土地の減税措置を優先するメリットを比較して判断してください。
特に以下を参考にすると良いでしょう
・都市部の場合
解体する建物は経年減価補正率により固定資産税が20%程度になっていることが多く、建物の固定資産税は比較的安くなっています。そのため、土地の減税措置を優先し、年明けに解体を始めるほうがお得な場合が多いです。
・地方の場合
土地の固定資産税がもともと安いケースもあるため、建物の固定資産税を回避するほうがお得な場合があります。地域の状況に応じて検討してください。
・建て替えの場合の特別ルール
建て替えの場合には、1月1日時点で建物がない状態でも、一定の条件を満たせば土地の減税措置を適用することができます。
条件例として、1月1日時点で新しい家の工事に着手していること。
※計画段階では特別ルールが適用されないため注意が必要です。
・スケジュールのポイント
建て替えを検討している方は、1月1日時点で小規模住宅用地の特例が適用されるよう、スケジュールをしっかり確認し、建ててもらう住宅会社と密に連携してください。
固定資産税に関する知識は、家づくりや建て替えを計画する上で大きな節約につながります。引き渡しや解体のタイミングを含め、税制の仕組みや優遇措置を正しく理解することで、無駄な出費を防ぎ、より賢い選択が可能になります。
太陽ハウジングでは、こうしたお客さまの疑問や不安に寄り添い、最適なアドバイスを提供しています。
安心して理想の住まいづくりを進められるよう、全力でサポートさせていただきます!ご不明点やご相談があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。